ECSTASY

春の調べ

原題: ECSTASY
監督: グスタフ・マハティ
キャスト: ヘディ・キースラー/ズヴォニミール・ロゴツ
製作年: 1934年
製作国: チェコ
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『春の調べ』ご覧になったかな。これ問題映画なのね。えらい問題になったのね。これチェコスロバキアの映画なのね。で、ヘディ・キースラーいう綺麗な綺麗な新人女優が出るんですね。で、この『春の調べ』、何が問題になったか?

これは若い奥さんが夫に不満で夫がちっとも魅力的じゃないので毎日裸で、真っ裸で裸馬に乗って走りまわっているのね。そういう映画なんですね。それをチェコスロバキアの映画、ヘディ・キースラー、観に行ったんですね。これそうですね。1932年その頃の映画です。その頃裸の女、前のおっぱいもまる見え、そういうのはとっても許されなかったんですね。けどこれは自然な映画だからカットしたらいかん、カットしたらいかん、と言うので全裸の姿見せて大変な評判になって、とにかく映画自身はどうでもいい。この裸観に行くんだって飛んでったんですね。裸になるんだ、ヘディ・キースラーが裸になるんだってえらい評判になった。ヘディ・キースラーの役がいいんですね。その不毛みたいな夫に飽き足らないんですね。それで真っ裸になって裸馬に乗って走りまわるのがせめてもの慰めなんですね。そういう所に非常にエロティックな物がありますね。で、チェコスロバキアの映画はこんなの作ったのかとえらい評判になったです。で、ヘディ・キースラーはいっぺんに有名になったんですね。ところがアメリカはこの女優見逃しませんね。すぐ呼んで来たんですね、すぐアメリカは契約したんですね。それで、ヘディ・キースラーはヘディ―・ラマールに名前変えたんですね。ラマール、ラマールなんていかにもな名前ですね。みんなが列作って並んだんですよ。

【解説:淀川長治】