THE MAN WITH THE GOLDEN ARM

黄金の腕

原題: THE MAN WITH THE GOLDEN ARM
監督: オットー・プレミンジャー
キャスト: フランク・シナトラ/エレノア・パーカー
製作年: 1955年
製作国: アメリカ

『黄金の腕』 懐かしいな~。いい映画だったな~。この映画観て出てくる役者にも、惚れ惚れしましたけれども、まずはタイトルですね。このタイトルは粋なんですねー。

そうして誰だろう思ったら、ソウル・バスいう人なんですね。
ソウル・バスのこのタイトルにまず、ビックリしましたけれど、音楽にもビックリしましたけど、やっぱり、オットー・プレミンジャー。この監督のタッチが、いかにも恐いんですねー。大人の映画なんですね。驚きました。

フランク・シナトラが主演しております。
『黄金の腕』と言うのは、ディーラーですね。トランプでバァーっと、お客にカード撒きますね。あれの見事な見事な、やっぱりあれも名人、下手があるんですね。きれーに撒くんですねー。ディーラーは。そうして、その人の撒き方が見事で、黄金の腕なんですね。黄金の腕。

そういう訳で、フランク・シナトラのディーラー、このカード撒きが、もう天才的なんですね。
奥さんが、エレナ・パーカーが扮してる。この奥さんが、いっぺん旦那と喧嘩して、足を怪我したんですね。治ってるのにまだずっと車椅子なんですね。「ずっと私は、いじめられている。ずっとこの通りだ。」とずっと旦那をいじめているんですね。

エレナ・パーカーがいいんですなー。車椅子に乗って、もう立てるのに車椅子に乗って、旦那の前で、「私はね。あんたの為に、こうなったんだよ。」いうのを毒ついてる感じが、恐いんですねー。もう、ものすごいんですねー。
フランク・シナトラは、麻薬中毒になってるんですねー。また、それが、凄いんですねー。麻薬中毒になって、苦しむんですねー。で、家に帰ったら奥さんはいっつもいじめるんですねー。怖い怖い、話なんですねー。
いかにも下町の何ともしれん、アメリカの感じが、良く出てるんですねー。この監督のタッチが、良く出てるんですねー。

フランク・シナトラの色んな映画、有りました中で、これが一番凄いと思いますねー。『黄金の腕』と言うのは、そのカード撒きですね。
エレナ・パーカー が毒ついて、毒ついて、毒ついて、旦那をいじめて、いじめて、いじめて、いじめる時の、あの、エレナ・パーカー。最後にこの車椅子に乗ったまま、どうなっていくか? そこが凄いですねー。
 その中で、柔らかい、柔らかい感じの、キム・ノヴァクの酒場女が、怖ーい話の中で、綺麗な花を咲かせますねー。
という訳で、この映画は、見事な映画文学ですね。映画の本当の文学ですね。それを見事に、オットー・プレミンジャー という監督がやり遂げましたね。こんな見事な、フランク・シナトラの映画は、ちょっと無いですね。

この映画は、いい意味で、ニューヨーク派、アメリカ派、都会派。それの代表作品ですねー。

【解説:淀川長治】