IT HAPPENED ONE NIGHT

或る夜の出来事

原題: IT HAPPENED ONE NIGHT
監督: フランク・キャプラ
キャスト: クラーク・ゲーブル/クローデット・コルベール
製作年: 1934年
製作国: アメリカ

『或る夜の出来事』『IT HAPPENED ONE NIGHT』これは、フランク・キャプラの監督です。

もうアメリカの最もアメリカらしい作品です。そうして出ているのがクラーク・ゲーブルとクローデット・コルベールですね。まあ今でこそ、どちらもよくオールドファンの方ご存知でしょうけどクラーク・ゲーブルいう人はそれまでずっと悪漢役、ギャングの役、そういう役やっていたんですね。

今度初めてコメディをやると言うのでゲーブルがこれでコメディやるのかと評判になった作品であります。これはフランク・キャプラと言うアメリカのムード溢れさせる監督が作っておりまして、話はまあお金持ちのお譲ちゃんがわがままでわがままで。そういうお譲ちゃんがまあお父さんがこの人と結婚しろと言うので嫌で家出して。そのお金持ちのお譲ちゃんが家出したと言う事件が、まあ新聞記者が評判になってみんな追っかける、追っかける、追っかける中でゲーブルが新聞記者で、追っかけて行く様なそういう確かストーリーですね。

ゲーブルとおてんばのコルベール、どっちも好きで嫌いで、嫌いで好きと言う感じでずっと行くうちに途中で困っちゃったんですね。どこへ行こうかわからなくなって、向こうから来る車にヒッチハイクの合図したんですね。「オイ、乗せろ。」ところがゲーブルの顔は怖いから誰も止まらないんですね。何度も止まらないのね。コルベールのお譲ちゃん笑っちゃったんですね。「あんた、馬鹿だね。」と言ったのね。「あたい、いっぺんで止めてやるわよ。」って言ったら「なんだ、お前止められるか!」って言って、スカートサッとめくったらパッと止まったんですね。びっくりしたんですね。

という訳で、二人がじーっと一晩のうちにその毛布が落ちてしまうという所が面白くてキャプラの見事な名作ですね。コルベールもゲーブルもみんなこれでアカデミー賞取りましたね。

【解説:淀川長治】