素晴らしき哉、人生!
  • 原題:IT'S A WONDERFUL LIFE
  • 監督:フランク・キャプラ
  • 脚本:
  • キャスト:ジェームズ・スチュアート/ドナ・リード/ライオネル・バリモア

  • 製作年:1955年
  • 製作国:アメリカ
  • フランク・キャプラの『素晴らしき哉、人生!』。
    これ、ドナ・リードとジェームス・スチュアートですね。

    キャプラの話しましょうね。キャプラと言いますと『哉る夜の出来事』。
    もうあれで一遍に有名になりましたね。

    おもしろい人でね、この人と帝国ホテルで私会ったんです。会った時に済んで終りに、私が冗談言ったんですね「East is east,west is west,never the twin shall meet.」、東は東、西は西、絶対両者あい会わず、言ったんですね。するとキャプラが、「Yes,yes.」言ったんです。
    そして別れてドア開けて出て、別々の部屋へ向かったんですね。

    ところが帝国ホテルはややこしいホテルで、廊下が入り交じっているんですね。
    で、さよならってはっきり言ったのに、また会っちゃったんですね。
    「わ、また会っちゃったね。絶対会わないだろう言ったら、また会いましたね。East is east,west is west..あれ、うそだね。」
    なんて言って二人で笑った事あるんですけど、そのぐらいにキャプラはおもしろい人でした。

    この人の映画は、どれもこれもアメリカ、アメリカ、アメリカで見事におもしろい人ですけど、私は『毒薬と老嬢』、あれ、いかにもキャプラの中で違う意味でおもしろかったですね。

    お婆さん二人が宿つくったんですね。宿屋を。そしてお婆ちゃん二人、非常に良いお婆ちゃんで、「あのねえ、お見えになる人みんな、もう年寄りの方でいろいろねえ。お年寄りの方は、もうそう永い事生きない方がいいわね、やさしく殺しましょうか」って、お婆ちゃんとお婆ちゃんが本気で言ってたんですね。
    「そうそう、お見えになる人がみんなワイン飲んで眠るようにお亡くなりになったら、本当に幸せね」。本気で二人がそう言って、来る人、来る人、みんな殺していくんですね。

    で、死体を床の下に入れるんだけど、床の下もいっぱいになっちゃったのね。
    「お婆ちゃん、お婆ちゃん、ちょっと床の下いっぱいになったね。」
    「そこのソファーの下へ入れましょうか?」
    そいでみんなソファーの下へ入れたんですね。

    そこへボルシカーノかなんか、人相の悪いのがやって来たんですね。
    で、「この人も殺しましょうか。」言う前に、腰掛けた時に、ちょっとねじった時に、ほっと下見たら下の蓋開けたんですね。
    そこへ死体が入ってたんで、「わーっ!」と怖がるところがあって、お婆ちゃん二人は「あの仏様は静かにお休みですよ」言ったのに、驚いちゃって逃げようしたんですね。

    という訳で、この『毒薬と老嬢』も、おもしろい映画でしたけれども、お会いした時もなかなかおもしろい人で、私、フランク・キャプラが『哉る夜の出来事』で、アメリカいうものをこんなにおもしろく見せたか、ゲーブルをこんなに発見したか、コルベールをこんなにおもしろく使ったかいうので、このキャプラ、好きですね。

    そのキャプラはいろいろ、いろいろつくりました。
    『群衆』、それもゲーリー・クーパーがおもしろかった。本当に名作の監督でしたね。

    【解説:淀川長治】